思考を超えた節税で企業の可処分所得の最大化を目指す:安藤税務会計事務所

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税法と会計の関係(法人税編)

  

税法と会計は切っても切れない関係にあることは、みなさんご存じの通りです。

それではどの程度密接な関係があるのかはご存じですか?

会計がなければ税法は成り立たないのでしょうか?

以前のエントリーで所得税編をお伝えしましたので、今回は法人税編を書いてみましょう。

 

 

法人税法は、消費税法よりも会計と密接な関係を持っています。

法人税法22条4項という規定があるのですが、ここでは『法人税の課税所得は、企業が計算した利益を基準とする』(正確な表現ではありません)とされています。

つまり、企業が決算を確定しなければ税金の計算がスタートしないという仕組みになっているんです。

なぜこんな仕組みになっているのかと言えば、法人の場合、利益の確定は株主総会の決議を経なければならないことになっているからなんです。

経理担当取締役が正確な決算書を作成したとしても、それが株主総会の承認を得なければ確定しないんです。

そしてその確定しない利益の処分は無効を主張されることがあるんですね。

その利益の処分には当然税金も含まれるため、株主総会を経て確定した利益を持って税金の計算をスタートするという規定になっているんです。

 

 

所得税編では『所得税法では、決算書の作成が最重要課題となります』と書きました。

もちろん法人税法でも決算書の作成は最重要課題であることには違いないのですが、法人税法は所得税法とは違い、決算書上の間違いは申告書上で修正が可能なんです。

法人税法と所得税法の最も大きな違いは、ここにあるんですね。

 

元々会計とはアバウトなものです。

例を挙げてみましょう。

新しい乗用車の場合、一般的に法定耐用年数は6年だとされています。

つまり6年間で少しずつ必要経費としていくのが、減価償却と呼ばれるプロセスなんですね。

ここであまり知られていないのが、この『法定耐用年数』というもの。

もっというと『法定』って部分なんです。

『法定』っていうくらいだから何かの法律で定められているはずですが、実はこれ税法の規定なんです。

『耐用年数省令』と呼ばれるものの中に定められているんですね。

ってことは・・・?

そう、会計の概念じゃないってこと。

会計の概念じゃないんだったら、会計はそれを守らなきゃならないんでしょうか?

 

 

 

守る必要はないんですっ!

 

 

 

おどろきましたか?

でも事実なんです。

例えばある企業が、3年ごとに社用車を買い換えることとしていたとしましょう。

この場合、たとえ法定耐用年数が6年と定められている乗用車であっても、3年で償却することが会計的には正しいことになります。

つまり極端な話、毎年買い換えることとしているならば全額を一気に経費としてもかまわないことになります。

かまわないというよりかは、そうすることが会計的には正しいということになるんですね。

 

このように、会計上は経営者の判断が大きく関わってくることになります。

ここで勘の良い方であれば気づいたかと思います。

『それって利益操作に使えるんじゃないか?』

その通り、利益操作に使おうと思えば使えるんですね。

特にこの方法が認められるのであれば、誰でも簡単に節税が可能となります。

そりゃそうですよね、毎年自動車を買い換えるだけで全額経費となるんですから。

 

そこで登場するのが、法人税の申告書だってこと。

法人税の申告書は『別表』という名で呼ばれるのですが、このうち別表4という書類がくせ者なんです。

別表4は『法人税法上の損益計算書』と呼ばれているもので、会計的には正しくても税法上は間違っているものは、ここで修正することになります。

つまりたとえ会社が3年ごとに自動車を買い換えることとしている場合でも、法人税を計算する上では6年間で経費とするように利益を調整し直すシステムとなっているんです。

このように法人税法上では、たとえ会社が経費として計上したものであっても、法人税法から見て間違っている場合には別表4を使って修正することになるのです。

会計学と呼ばれる分野の中で、特にこの税法との絡みで問題となってくる部分のことを税務会計と呼んでいます。

 

 

ここで、雑学を一つ。

『必要経費』という言葉ですが、これは本来所得税法上の専門用語なんですね。

所得税法上、収入から差し引くことが出来るもののことを必要経費と呼びます。

つまり、会計学における『経費』よりも概念的には狭くなります。

そして法人税法における『必要経費』と同様の概念のことを『損金』と呼びます。

この『損金』も『経費』よりは狭い概念となります。

わかりやすく書くと、会計上経費となるものであっても法人税法上損金とならないものがあるんだってことですね。

これが法人税法の最も特徴的であり、難しいところとなります。 

お手元に法人税の申告書をお持ちの経営者の方がいらっしゃいましたら、是非一度別表4をご覧ください。

キャラ立ち決算書へのヒントが見つかるかもしれませんよ。

 

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2009年1月22日