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税法と会計の関係(所得税編)

  

会計が絡む税法の代表格というと、所得税法と法人税法となります。

この所得税法と法人税法とでは、会計との絡み方が少し違います。

今回は、この違いについて解説しましょう。

えっ?そんなの興味ないって?

まぁそう言わずに。雑学だと思って、ね。

 

 

まずは所得税法から。

所得税法では、決算書の作成が最重要課題となります。

というのは、所得税法において決算書での間違いは、即修正申告に繋がるからです。

『えっ?法人税法では違うの?』ですって?

はい、違います。

法人税法では、決算書での間違いはリカバリー可能なのです。

でも、それは次回のお話し。

 

 

もうすこし詳しく説明しましょう。

実際にごらんになったことのある方はご存じだと思いますが、所得税の申告書は非常に単純な仕組みとなっています。

なんといってもA4用紙で1枚ですから。

実物は2枚組になっていますが、そのうちの1枚は明細書となっています。

この申告書に記載する所得金額から、配偶者控除や医療費控除、基礎控除など所得控除と呼ばれるものを差し引いて課税所得を計算します。

この課税所得に税率を乗じて税額を計算する仕組みとなっているのです。

つまり申告書に記載する段階で、すでに正しい所得金額を計算しておかなければならない点が、所得税法における特徴となります。

この所得金額というものが、会計における当期純利益と呼ばれるものと一致することになります。

 

実はここで会計的に問題が生じるのです。

会計学を勉強したことのある方であればおわかりかと思いますが、会計とは作成者の意志決定により作成されます。

ここに作成者の意図が反映されるのです。

例えばこのようなことがあります。

ある個人企業で、商品配送用のトラックを購入したとします。

このトラック、所得税法では耐用年数を5年として減価償却費の計算をすることになります。

つまり5年間で少しずつ費用化していくことになるのです。

ところがこの企業では、トラックを必ず3年で買い換えることとしていたとします。

この場合、会計学的にはこのトラックは3年で減価償却するのが正しい方法となりますが、所得税法はこれを認めてはくれません。

そこでやむなくこの企業は5年で減価償却の計算をし、3年目に買い換えるときにはまだ2年分残った簿価を一時に損失計上することで帳尻を合わせることになります。

帳尻を合わせると書きましたが、まさにこの表現がぴったりなのが所得税法における会計学なのです。

このように会計学的に見れば問題の残る方法をあえて選択しているのには、理由があります。

会計学の本当に難しい部分を回避するようにつくられているからです。

会計学の本当に難しい部分とは、公正な恣意性を判断基準にする点です。

わかりやすく表現すれば、過度な利益操作に繋がらない範囲内で最も有利な方法を選択しなければならないという点にあるのです。

このためには会計学に精通する必要がありますが、個人企業レベルではこれを実現することは難しいということなのでしょう。

個人企業レベルというのは、法人組織に移行直前の企業から田舎の駄菓子屋のおばあちゃんといったところまで実に幅広いものです。

これら全ての企業に対応させようと思えば、基準を一番レベルの低い部分にもって来ざるを得ないことになります。

ということで、この公正な恣意性が必要となる判断を極力なくす方向でつくられているのが所得税法となります。

 

一言で言えば、誰にでもわかりやすく簡単にというコンセプトで作られているのが所得税法だということになります。

とはいえ税法ですから難解であることには違いないのですけどね。

会計学的に見れば、最低限度の知識で決算書や申告書の作成が可能となるのが所得税法の特徴となるでしょう。

 

それでは、次回は法人税法と会計学の関係について解説しましょう。

 

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2008年12月27日