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利益が出てもお金が残らない、最大の理由

『決算書上では利益が出ているのに、全然お金がないんだけど・・・?』

こんな話をよく聞きます。

以前のエントリー『お金の流れを見るにはキャッシュフロー計算書ではダメだっ!』でも書きましたが、利益とお金は一致するとは限りません。

いくら売上がたくさんあっても、売掛金を回収できていなければ絵に描いた餅でしかありません。

こんなの、『貸し倒れたらどうすんだっ!』って感じですよね。

 

少し寄り道します。

皆さん勘違いしてると思いますが、貸し倒れって売掛金がパーになるだけじゃありませんからね。

納品している商品までパーになるんです。これが返品との大きな違いですね。

貸し倒れも返品も、売上代金が回収できなくなる点では同じです。

しかし、返品の場合には戻ってきた商品を再販できますが、貸し倒れの場合には商品は戻ってきません。

ね、最悪でしょ?

  

それでは話を元に戻しましょう。

それでは売上代金を全て回収できたとしましょう。

あるいは日頃から全て現金売りのみである場合を考えてみてください。

このような企業では、利益とお金の流れが一致します。

それではこのような企業では利益が出たらその分だけお金が手元に残るのでしょうか?

 

 

 

いいえ、やはり残らないのですっ!!

 

 

 

これが日本で企業を経営するにあたっての最も難しい点なんです。

そして、日本では起業後10年継続する企業が2割程度しかないといわれる最大の理由でもあります。

この理由、なんだかわかりますか?

実はこれ、日本は間接金融中心の社会だからなんです。

 

ここで直接金融と間接金融の違いを簡単に説明しましょう。

直接金融とは、ひと言で言えば出資を意味します。

企業経営上資金が必要となった場合に、誰かから出資を受けて資金調達をするシステムを直接金融と呼びます。

日本では主に上場企業がこのシステムを採用しています。

これに対して間接金融とは、ひと言で言うと銀行融資を指します。

資金調達の必要性が生じると、金融機関から融資を受けることで解決するシステムを間接金融と呼びます。

 

直接金融で調達した資金と間接金融で調達した資金では、天と地ほどの違いがあるんですよ。

この違い、なんだかわかりますか?

わかんない?実はね、

返さなきゃならないかどうかなんですっ!

借りたお金は返さなければなりませんが、出資して貰ったお金は原則として返す必要はありません。

つまり間接金融とは一時しのぎの資金調達法でしかないのです。

 

勘のいい人だったら、そろそろ私の言いたいことがわかってきたのではありませんか?

 

それでは、一つ簡単な例を挙げて説明しましょう。

ある企業の今期の決算による利益が1億円だったとします。

この企業は売上代金を全額現金回収しており、期末では売掛金がなかったとしましょう。

便宜上、費用もゼロだったとします。

するとこの企業、通常であれば現金が1億円あるはずですよね。

ところが、以前から借りていたお金を返済するために1億円を充てていたとしたら・・・。

この企業、どういう状態かわかりますか?

そうです、利益は1億円あるにも関わらず現金はゼロなんです。

借りていたお金を返しても、経費にはなりませんからね。

そしてこれこそが

 

 

 

利益が出てもお金が残らない、最大の理由

 

 

 

なんですっ!

特に中小企業では、せっかく儲けたお金が借入金の返済で消えてしまっている企業が多いんですね。

これをいかにうまく乗り切るかが、10年後生き残れるかどうかの最大のポイントなんですよっ!

 

 

2007年11月 9日