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間違った車両の買い換え

 

日本では3~5年ごとに自動車を買い換える人が多いですね。
この理由は明確、車検を通すかどうかを考えるからです。
それともう一つ大きな理由があるんですね。
それは、下取り価格。
今の中古自動車市場では、主として走行距離と年式で下取り価格が決まるようです。
そこでみんな考えるのが『今だったらまだ高く売れる』って事なんですね。

ここで一つ大きな間違いを犯す人が出てくるんです。
それは
 
 


ローン残高のことを考えずに買い換えてしまう

 

 


って事なんです。
これはあまりプライベート用の車では考えられませんけど、事業用となるとたまに相談を受けて驚きます。
つまりまだローン残が残っているのに買い換えるって言ってくるんですよ。
信じられませんよね。

それじゃ、このとき社長が何を考えているのかを考えてみましょう。
この瞬間、社長の頭の中は『節税』の事しかないんですね。
つまり、税金を少なくするためだけに車を買い換えようとするんです。
だからローン残のことなんか眼中にないんですね。

でもね、これってスゴく危険なんですよ。
何が危険かって、ローン残高ばかり増えるだけであまり節税効果がないからなんです。

ちょっと一つ例を挙げてみましょう。
簿価(帳簿上の価値)として500万円残っている自動車があったとします。
そしてそのローンがあと600万円だったとします。
この自動車を300万円で下取りして新たに600万円の自動車をローンで買ったとしたら・・・
さぁ、どうなるでしょう?

まず簿価500万円の自動車を300万円で下取りしたんだから、200万円の損失ですね?
ということは200万円利益が減少してその分税金が減るって事です。
中小企業ではおおむね35%が税金だから200万円利益が減少したら70万円税金が減るって事になります。

ここまではいいですよね?

この300万円をローンの返済に充てたら・・・。
ローン残高が600万円だからここから300万円を返済してもまだ300万円が残るって事になりますね。
その上で600万円の自動車をローンで買うんだから、負債は合計で900万円になるでしょ。

つまりこの会社、600万円の自動車に対してローンが900万円残るって事になるんですよ。
この場合の節税効果はたったの70万円!
70万円ぽっち税金減らしても、ローンの金利でそれ以上払うことになる事に気づいていますか?


確かに節税は大切なのですが、自動車の買い換えの目的を節税にターゲッティングするとろくな事になりません。
自動車は必要な時に必要なものを買い換えるようにして下さいね。
そうでなければ、ローン残高ばかり残って大変なことになりますよ。

 

 

2007年11月 3日