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中小企業の資金繰りで最も厳しいものとは?

 

いつも言うことですが、中小企業にとって資金繰りは最重要課題です。

そんな中で、ほとんどの中小企業が陥る資金繰り上の大きな落とし穴が二つあります。

一つは

 

 

 

源 泉 所 得 税

 

 

 

です。

中小企業経営者であれば『あぁ、あれか』と理解してもらえると思いますが、ご存じない方のために簡単に説明しますね。

 

働いて給料をもらったことのある人であれば大抵経験したことがあると思いますが、ご自分の給料明細を思い出してみて下さい。

給料明細って、大抵は上半分が支給項目、そして下半分が控除項目となっています。

この控除項目の中に「源泉税」とか「源泉所得税」ってところがあるでしょ?

えっ?見つかんない?

もし見つからないようであれば、あなたの給料からは税金が引かれていないんです。

課税最低限の金額があるんですが、ここでは触れません。

 

この「源泉税」ですが、原則は給料を支給した月の翌月10日までに国に納付しなければなりません。

っていっても銀行や郵便局の窓口でOKなんですけどね。

最近は電子納付といって、オンラインバンキングからも納付できるようになっています。

この原則的な方法であればさほど問題ないのですが、問題は例外の方なんです。

例外ってどんな方法でしょう?

ちなみにこの例外は、常時10人未満の従業員に給料を支給する企業に限って認められる特例です。

つまり比較的小規模な企業に限られるものなんですね。

これは小規模な企業の事務手続きを簡素化する目的で設けられている制度です。

 

例外の方法は次のようになっています。

●1月分給料~6月分給料の源泉税・・・・・・・半年分をまとめて7月10日までに納付

●7月分給料~12月分給料の源泉税・・・半年分をまとめて翌年1月20日(10日の場合もあります)までに納付

 

ここで注目して欲しいのは、手続きではなくて半年分をまとめて納付という部分です。

勘のいい方であれば、もうおわかりですね。

そうなんですっ!

半年分をまとめると、かなり大きな額になるんですっ!

確かに事務手続きは簡素化されますが、資金繰り面ではかなり圧迫することが多いものなんですっ!!

 

中小企業ってやはり資金繰りがタイトなんですよ。

正しくはこの源泉税、従業員からの預り金ですから資金繰りなんかに使っちゃいけないんです。

でも中小企業の資金繰りはそんなこと言っちゃいられないって事がホント多いんです。

で、どうなるかというと・・・

 

 

 

納期限になってもお金がないため滞納っ!

 

 

 

先ほどもいいましたが、源泉税って従業員からの預り金なんです。

預かっているお金を期限までに納付しないって事は、国側からすれば横領に近い感覚なのかもしれません。

で、税金の仕組み上どうなってるかというと

 

 

 

源泉税の滞納には非常に厳しい罰則が課せられます

 

 

 

まず、1日でも遅れるとそれだけで最低5%の不納付加算税が課せされます。

その上年利14.6%という、消費者金融並みの利子税が課せられます。

さらに、他の税金に比べて取り立てが非常に厳しくなります。

 

 

んじゃ、どうすればいいんでしょうね?

私が勧めるする方法は、次の二つです。

●毎月の源泉税分を、別預金にして備蓄する。

●面倒でも原則通り毎月納付する。

 

「なんだ、そんなことか・・・」って言わないで下さいね。

法律で決まっているものを曲げることは出来ませんから。

でもちょっと考えたらわかると思いますが、カードローンの金利よりも高いんですよ。

こんなの滞納したら、資金繰りがさらに悪化するのは目に見えてるでしょ?

その上これらの罰則で課せられた税金は経費で落ちないし。

踏んだり蹴ったりですよね。

 

であれば、いかに滞納せずにすむかを考える方がいいでしょ?

どうせいつかは納付しなきゃならないんだし。

自分で貯められる自身のある方は、毎月備蓄して頂ければ結構です。

その自身がない方は、是非毎月納付することをオススメします。

毎月納付するのって、そんなに面倒じゃないですよ。

給料計算と一緒にやっちゃえば一度ですむし、ね。

常に前向きな姿勢で取り組んだ方が、いい結果がでますよ。

 

次回は、「中小企業の資金繰りで最も厳しいもの」のふたつめを紹介しますね。

 

 

2007年12月 8日