クロージング考
最近、少し営業の勉強をはじめています。
そのなかで、考えれば考えるほど判らなくなってくるものがあります。
それが、クロージングというものです。
営業パーソンであれば、誰でも当たり前に使っているものであり、営業の中で非常に重要な部分を占めるものでしょう。
先日、このような話を聞きました。
ある物品の訪問販売の話です。
ある営業マンがこの物品を販売するために数時間の営業をかけていました。
そして、最後に契約をしてもらうためにクロージングをし、きちんと契約を取ることができました。
さて、次の日になってそのお客様からクーリングオフがかかったそうです。
当然その営業マンはキャンセル止めをするために、そのお客様を訪ねました。
すると、そのお客様のお父様が病気で入院されたということだったのです。
ちなみに、今回販売した物品というものは通常の生活には全く必要のないものでした。
自己啓発というか、自らの資質向上のためには良いものだったのでしょう。
ここで、この営業マンはキャンセル止めに成功して再び契約を取り付けることができました。
ところが、次の日になると再びそのお客様からクーリングオフがかかったのです。
この営業マン、三たびそのお客様を訪ねてみると、今度はお父様の病気のために家業を廃業されていたそうです。
ここでもやはりキャンセル止めのトークをしました。
そのとき、お父様のためにお見舞いの品を持って行ったそうです。
そしてまたキャンセル止めが成功。
しかし次の日にはやはりクーリングオフ。
結局これを5回繰り返したそうです。
最後には行方が判らなくなってしまったそうです。
これをその営業マンは『自分がいかにあきらめなかったか』という美談にして話していました。
また聞き手の方も、そのお客様のことを 『あぁ、結局はそういう人だったんですねぇ・・・』 というように表現していました。
営業ってそういうものなのでしょうか?
僕からすれば、このお客様は意志が弱くて言われれば言い返すことができずに契約をしてしまうタイプの人に見えます。
だからその場では契約書にサインをし、次の日にクーリングオフ制度を利用するしかなかったのでしょう。
ということはどういう事でしょうか?
この方は、元々お客様ではなかったということではありませんか?
見込客とそうでない客をきちんと見分けられていなかっただけのような氣がするのは僕だけでしょうか?
それとも、氣の弱いことにつけ込んで人をだます手口で無理矢理契約を取り付けようとしていたのでしょうか?
さらに、この営業マンは次のようにも言っていました。
『きついクロージングをしてでも、お客様に決断をさせることこそがお客様のためになることなのです。』
『そうでなければ、お客様はその素晴らしい物品を手にすることができないのですから。』
これもどうなのでしょうか?
もちろん、自分の商う商品に心底惚れることは必要だと思います。
しかし必ずしも安価ではない、どちらかといえば高額な商品を、家業を廃業し、お父様が病気になった方に販売するという行為が果たして営業マンの鏡と呼ばれるものなのでしょうか?
このお客様の心情を考えるに、きっと毎日寝られないほど悩んでいたのではないかと思います。
その上で何度もクーリングオフをしていたということは、そのとき彼はどのように考えていたことでしょう?
『頼むから、もう何も言わないで・・・』
そう考えていたのではないでしょうか?
そのような人の心を思いやることすらできない人が、どうして優秀な営業マンなのでしょう!?
優秀な営業マンである前に、人としてどうあるべきかを考えさせられた事案でした。
2006年9月 8日
コメント
同感です。営業の現場にはこうゆう人たくさんいますよね。私も契約がほしいあまりあせって行動してる時はこれに近いことになったこともあります。(すいません。昔の記事にコメントしてしまって)
投稿者 普通伝 : 2006年9月15日 00:26
★普通伝さんへ★
コメントどうもありがとうございます!
未だにこのような方が多いのだということに驚きを感じています。
このような手法で売れば確かに短期的には売れるかもしれませんが、長い目で見れば決して成功できる方法ではないと思います。
売ることだけが至上命令である営業の世界においては売ること=成果と考えると、理解できなくもないのですが、上に立つべき人がこれを部下に指示するのはどうかと思いますね。
もう少し人としてどう行動するべきかも学ぶ必要があるのではないかと考えさせられました。
投稿者 安藤惠哉 : 2006年9月15日 00:46




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